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書籍、音楽、映画、文具、雑貨etc.のおすすめ。

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これからは、新旧や優劣といったステレオタイプの杓子定規な解釈は、ますます役に立たなくなっていくと思われます。
国や地域レベルのみならず、個人が個性・特性を文化的(cultural)なレベルにまで高め、表現する時代。
自らのデザイン(design)×センス(sense)で娯しむ。
素娯録ブックスは、心にキラリときたものを本棚のように置いていきます。

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紀伊國屋書店ウェブストア

書店は街にとって大切な知の集積空間。素娯録は紀伊國屋書店さんを応援します。

虚無の構造|西部 邁|中公文庫

現代、さまざまな「イズム(-ism)」が乱立するなかで、それらの通奏低音、土壌の底にあるものはニヒリズム(虚無主義)ではないのか。現代の虚無は、老荘の哲学とも仏教の空観ともまったく異なるといっていい異質なものである。それはとらえきることのできない実在への態度などではなく、技術への異常な偏頗によって過度に加速された破壊主義への適応をやむなくされた精神の畸形、帰る場所はおろか今現在立っていられる場所すら失った、マス(群衆)というゴーストの中を浮遊しつづける生気なき亜粒子の意識状態である。
この厄介きわまりない精神に巣食う寄生虫と至近距離でどう対峙するのか。ニヒリズムという精神宇宙に必然的に発生するブラックホールに抗する遠心力は何であるのか。虚無を腑分けし、その構造を明らかにし、さらには力学的解釈にまで及んだ名著である。

昔、言葉は思想であった―語源からみた現代|西部 邁|時事通信出版局

私は常々思うことがある。それは、現代の多くの人間は「言葉というものをナメすぎである」と。言葉というものが、宇宙の一現象であるところの人間とその運動から析出された極でありコードでもあると知れば、その頽落がすなわち現象・人間にバグ(プログラムの誤り・欠陥、bug)をもたらすことは自明ではないのか。言葉は人間というものの「実相」を永い時をかけて表しえた、いわば人間と実在との間に介在し、啓示するものである。
児戯のごとき浅薄な流行語やジャーゴン(内輪で盛り上がるだけの用語じみた言葉、jargon)にまみれ、それが自身をゆるやかに貶下し劣化させていることに気づくのなら、髪型やら服装への気遣いを二の次にしてでも言葉への気遣いをはじめるべきだと思うことだろう。そう、言葉は本来、それ自体が思想なのだから。

目からウロコが落ちる奇跡の経済教室【基礎知識編】|中野 剛志|ベストセラーズ

【基礎知識編】としてある本書――および後に紹介する【戦略編】――を手に取る前に、ひとつ覚悟しておくことがある。それは、本書で明かされている「事実」を知るということは、同時に、この日本が令和、平成、否、戦後という2世代以上もの厖大な時間、誤った貨幣観とそれにもとづく失策により、経済的自傷行為をつづけてきたのだというショック。カネと無縁の日など人生に一日としてないというのに、国家ぐるみでその誤謬を365日、何十年と食(は)んできたという事実は、身体に良いとされ毎日食べてきた食べ物に、じつはヒ素が入っていたというショックに等しいかそれを上回るショックだろう。
そしてそれが、私のようなロスジェネのみならず、すべての日本人を巻き込む「原因不明の経済的体重減少のマクロで強烈な原因のひとつ」であったとなれば、怒りとも悲愴とも判別がつかない複雑な思いに苛まれるかもしれない。
しかし。しかしだ。過ぎたことはどうにもならない。ここはひとつ「思い立ったが吉日」と無理矢理にでも溜飲を下げようではないか。そして、知ったならば、変わらなければならない。
とにかく、この本を街のいたるところに設置したい思いだ。この【基礎知識】は、カネと無縁の日など人生に一日としてないということを思えば、12歳ぐらいで身に付けるべき必修の知識だ。

全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】|中野 剛志|ベストセラーズ

この【戦略編】は【基礎知識編】からの発展段階としての「戦略的」視座から書かれているというより、知行合一における「知識」からの「実践」と解釈してもいいかもしれない。ここで書かれている「戦略」を理解することは、同時に、誤った貨幣観を故意に利用し、財布と預金の概念ぐらいしか通常扱うことのない大多数にたいし、欺騙を仕掛ける側の戦略のその矛盾、論理の破綻箇所を見抜く上でも役立つだろう。 戦略的実践論は、なぜに日本がこうまで零落れ、そしてこれからも零落れつづけるであろう予測をひっくり返せないのかという、現在、日本人の多くがかかえてやまないこの「鬱」に強烈な光を当てる。
その光にあぶり出されるのは、零落する日本を「運命」といって片付ける大多数の無知と無関心と無気力からの愚直な実践こそが、コツコツと、戦略的に、零落する日本を築いてきたという事実である。だからこそ、この本の表紙には全国民が読んだら歴史が変わるとあるのだ。
政治に興味がないだとか、難しいことは分からないだとか、もういいかげんにみたいなことばかり言うのはお終いにして、こういうまともな本を読んで、まともな議論の場、本気の活知をおのれの生存戦略に組み込み、洗脳(誤謬にまみれた脳を洗い流すこと)しようではないか。

[ Goods ]

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SHOCHU X

ここにまた、伝統と文化の新たな表象が一本。

日本のモノづくりのエスプリに出合う

日本のモノづくりのエスプリ(精神、esprit)。それは個性豊かな伝統と文化に磨かれた精神と感性の結実、文化的(cultural)な意匠と機能であり、また、技術への精緻な視座と、使い手への心づかいではないだろうか。

ここにまた、伝統と文化の新たな表象が一本。「SHOCHU X」から生まれた、その名も『希継奈(KIZUNA)』。
三倍の麦を使用し、五年という時のなかで熟成し、添加物を一切使用しないという極上の麦焼酎は、真っ直ぐをみている。国内最高峰の人の技術と、熟成という時が創り出した『希継奈』は、その名のとおり人と人の希継奈として機能する、焼酎という姿を借りた文化のカタチである。

wimoオンラインストア

電動アシスト自転車の新しいカタチ。

人間の身体の力で駆動する乗り物は、内発的であり能動的であり、精神的な運動でもあるため、私も自転車でのポタリングは大好きだ。自転車で遠出する時は、時間や速度や効率より、そのプロセスがどれだけ情緒的に楽しめるかを重視する。自転車は走るだけでエンタメ(entertainment)な乗り物だ。

『wimo』はwindとmobilityの頭二文字からの造語だという。 「移動を、より快適にする」というビジョンは、私の考える自転車の意義と見事にマッチする。そしてそれはきっと時代にもマッチしているにちがいない。

短時間充電&ハイパワーのPanasonic製リチウムイオン電池採用(バッテリーIP66、バッテリーボックスIP54の高い防水・防塵性能)。コンチネンタル製ポリウレタンのベルトドライブは油汚れや錆の心配もなく、アルミ合金カバーで保護されたクランクセットは耐久性が高く、お手入れも不要。直感的にバッテリー残量や速度がわかりやすいカラーディスプレイ搭載。そしてこれらの機能を美しく統合したフォルム。新しいだけじゃない、楽しむことをも追求した自転車が登場した。

COOZY電動アシスト自転車『wimo』

マウスコンピューター

長野県飯山市にメイン工場をもつ、Made in Japanクオリティ。

長野県にあるマウスコンピューターの飯山工場は、「テクノロジー」、「ファクトリー」、「セールス」、「サービス」、「リペア」の5つの視点から製品のクオリティを追求している。

製品のPCは、各部材の特性チェック、温度ストレス試験、静電気試験、振動落下試験などの環境試験、騒音レベルチェックやすべり(摩擦)チェックなど事細かに行われ、プリプロダクションを通過するまでに品質管理部門が厳しいチェックを行う。

写真は、重さ約985gのマグネシウム合金ボディに、クリエイティブなタスクもこなすパワフルなスペックを凝縮した14.0型ノートPC『DAIV 4P-E』。 インテル第11世代CoreプロセッサーのCore i7-1165G7、16GBメモリ、256GB SSD。

DAIV 4P-E

藤巻百貨店

「日本」をテーマにした珠玉の逸品に出合える。

近年、安物買いの銭失いという言葉はつくづくよくできた言葉だと痛感していて、ネットで軽快にポチったモノが、1年ももたずに不具合で壊れ、捨てざるをえなくなるという事態に際し、「これは『安かろう悪かろうモノ』が、物欲も、買い物自体もつまらなくしているな」と思ったものだ。

一万円と五千円、二つのモノを見比べて、半値のお得感につい、なびいて買ったはいいものの、半年で壊れて二度買うことになるのであれば、最初から一万円の良品を買っておけばよかった、そう思わされることが年々エスカレートしているように感じる。これもグローバリズムの弊害なのかはわからないが、とにかく、日本の旧き良き仕事、そこからの系譜というものが、じつはとてつもない価値を宿したものだったのだと思わされる。 モノづくりにおけるエスプリが、人の日常、もしかすると国すらも高揚させ、活力の源になっていたのではないだろうかと。

世知辛い世の中、たしかに背に腹はかえられぬ買い物も多々あるけれど、エスプリを刺激するような買い物にはそれ相応の価値を見出し、楽しむこともまた人生の豊かさのひとつであるのかもしれない。

『藤巻百貨店』には、「ここぞ」という本気の買い物熱を呼び覚ますものが、ずらり並んでいる。

[ Music ]

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TOWER RECORDS ONLINE

実物を手に取り、ジャケットに一目惚れした、あのタワレコさんを忘れはしない。

LIVE|Marcin Wasilewski Trio

ポーランド・ジャズのレベルの高さを知るのによいアルバム。ゲスト参加のJoakim MilderのTsもアルバムの印象を濃くしている。

Spark of Life|Marcin Wasilewski Trio, Joakim Milder

マルチン・ボシレフスキのピアノは彼の音楽的センスのシグネチャーそのものだ。「筆致」と表現したくなるようなその音。

Welcome To This World|Mabuta

「Bokani Dyer」の音には情熱をくすぐるなにかがある。40代を生きる私の寛ぎの時間、夕陽以降の時間、この音は演出家として最高の仕事をしてくれる。

Bloom Ascension|Steve Roach

一言でいえば「独りになれる音」であり、外界からの「不干渉」を望むのに適した、瞑想的アイソレーション状態になるのに適した音だ。

Shadow Of Time|Steve Roach

言葉を含む音楽は、文章やコードを綴る時に割り込んでくる。言葉が脳内で衝突する。この音は脳をニュートラルからややトランス気味にする。

Light Fantastic|Steve Roach

満員電車内の怠い光景も、マンネリの極みで自動症と化して歩くいつもの夜道も、イヤホンでこの音を流せば位相が変わる。半異次元になる。

[ Movie ]

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大空港2013

完全ワンカット・ワンシーンなるものが、観ている者にこうも独特の鑑賞感を与えるとは。これは映画というより空港という異質な舞台空間での演劇だ。「ワンカット・ワンシーン」という手法は、安易なVFXよりはるかに上等な手法だと納得した作品。

SHORT PEACE

4話からなるオムニバス形式。なかでも『火要鎮(ひのようじん)』の描画センス・技術は、温故知新、古今統合からの「classic(第一級)」な伸びしろを感じる。

MEMORIES

3話からなるオムニバス形式。個人的には『彼女の想いで』がイチオシ。クライマックスでオペラ『マダム・バタフライ』を合わせてくるあたり、天才的。デザイン系の仕事をしていると、このような秀逸なアニメ作品はライブラリー資料として永年保管したくなる。

プロメテウス

ホラーほぼ単色だった『エイリアン』の外伝的作品の今作は、ホラーに「エピック(叙事詩)」的要素が加わり、エイリアンの背後がドラマツルギーの柱となっている。『エイリアン』より陰鬱なダークトーンにつつまれた世界。おそらく宇宙の出来事の半分は、このトーンだ。

デリカテッセン

奇妙な位相に飛び込みたいなら、この映画はうってつけだ。核戦争後の荒廃したパリにある、アパルトマン兼精肉(じつは人肉)店からはじまる物語が軌道修正されるはずもなく、カオスで、ブラックで、日本人にはあまり馴染みがないであろう質のユーモアで最後までひた走る、奇怪な秀作である。

運び屋

クリント・イーストウッド監督の映画は、スクリーンの映像の奥に目に映らない意味や価値のレイヤーが何層にもなっていて、鑑賞後、自身のなかで反芻してはじめて、作品に触れたことになるようなものが多い。今作に関しても、家族が、花が、カネが、時間が、自身において何の表象であるのかを問う時、あぶり出される思いがある。

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