明想

明想

なんとなく気に入った道を歩き、なんとなく気に入った場所に座り、なんとなく思う。太陽の光にすべての色がふくまれていることをなんとなく感じ、時間とともに変わる大気の匂いになんとなく気づき、飛んできたセキレイに頭のなかで話しかけるも、まるで通じていない素振りになんとなく我と他我の不思議を知る。こうした一時を私は明想とよんでいる。

「なんとなく」は「何となく」であるがゆえに「すべて」を含有してもいる。計算による取捨不可能な厖大な対象と可能性と選択肢を前にして、本能が、感性が、「なんとなく」を発動する。それが好率と幸率の真星へのじつは効率の一直線なのだと「なんとなく」理解してもいる。

心静かに空しくして明想する時、明瞭な思考こそ迷想にすぎないことを、あのセキレイたちの尾羽になんとなく観るのである。