名前

名前

およそすべてのものに名前がある。そしてその名前は、実体にもとづくものがほとんどだ。縞がある馬だから「シマウマ」、暴君のような(tyranno)恐竜(saurus)だから「ティラノサウルス」、洗濯する機械だから「洗濯機」といった具合に。名を隠しても「匿名」などという、やはり相応しい名が与えられる。

ところが人だけは異なる。人は実体、実質や内容が顕われる前、生まれると同時に名前がつけられる。そこから「名前負け」というエラー(誤差)が生じてしまう。名前は実体にもとづいてつけられるほうが後々うまく機能すると相場が決まっているというのに、やらかしてしまう。

たとえば、美徳を意味する名の者が稀代のであったりする。これはちょっとした喜劇だ。

もしかすると、そこに深遠な洞察があったのか。つまり喜劇のように人を笑顔にする人たれ、と。

否、ただのエラーであろう。