効果的なサムネイルの作り方

サムネイルはただの縮小にあらず。
サムネイルの効果とは、体験できることを先に見せるあらすじ

サムネイル(thumbnail)」というのは、コンテンツを縮小して一覧性をもたせた見本のようなものですが、こういう小さなものほどデザインするにおいて奥深く、効果に差が出るものでもあります。 今ではYouTubeのような動画コンテンツにおいてもサムネイルは重要な役割を果たし、今後も媒体は変わりつつもその機能はもとめられつづけるのだろうと思います。 今回はそんな「小さくても重要なサムネイル」を作るちょっとしたコツをシェアしようと思います。

「デザイン」を仕事にしてかれこれ約20年ほどになりますが、 その間いろいろ見てきたなかで、媒体によって変わるサムネイルの作り方やそのコツですが、やはり基本中の基本、軸足はグラフィックデザインにあると考えます。 小さな定型枠の制限、たとえるなら全体の1%ほどのスペースに、残りの99%の価値を表現するようなものが「サムネイル」です。

たとえば文庫本であれば10万文字以上の内容、動画であればものによっては数時間に及ぶ内容を、上手く伝わるよう表現しなければならないわけで、ただ力技で小さくすれば良いというものでもありません。 そして、もしもそれが内容の魅力を上手く表現できていない場合、膨大な時間と労力をかけて作り上げられた文章や視聴覚コンテンツに触れてもらえない、素通りされてしまうという、大きすぎる機会損失を生むということにつながるわけですから、やはりサムネイルというのは小さくても大事なのです。

サムネイルの本分とは、一言で表すならば、 コンテンツの対象(ターゲット)にたいし、体験できることを先に見せるあらすじ のようなものです。 つまり、それを見た人が自分に関係があるか、興味があるかを判断するための最初のきっかけであり、その欠片の先にある体験をチラ見せする、ということで、10万文字以上の内容や数時間に及ぶ動画への「ドア」というわけです。 ではここからは、興味と期待をもってくぐってもらえるドアづくりの実践へと進みましょう。

ターゲティングと様式

サンプル画を使いながら、ただのサムネイルを効果的なサムネイルへとデザインしていきます。 まずはただ文字を打っただけのサムネイルを見てみます。

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たしかにこれでもサムネイルとして最低限機能します。 しかしまったく同じコンテンツにたいし、少しデザイン知を加えたサムネイル(右)と2つ並んだ時、どちらに興味を惹かれ、その続きであるコンテンツに触れてみたいと感じるでしょうか。

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これはコンバージョン(興味関心から実際にアクションを起こす)へと進む確率に直結するため、コンバージョンアップのためのテクニックということもできるでしょう。 そこでまず最初に考えるべきことは様式です。 そして様式を決めるためには、ターゲティングという「そのコンテンツを主としてどういった層(人)に向けて放つのか」ということをまず決めなければいけません。デザインはその後のことです。ターゲットなしにデザインは機能しないからです。

コンテンツにはかならずターゲットが存在します。 男性の私に天使のブラをどれほど優れたデザインで訴求しても無駄である、といえば分かりやすいでしょうか。

サンプルに話を戻すと、「思考は技術である シャーロック・ホームズ的3D思考(仮)」というコンテンツは、タイトルから想像できるとおり、思考術についてのコンテンツであり、ターゲットは10代後半から50代の男女、属性は学生から社会人まで幅広く、勉学や仕事における思考活動に何らかのアイデア、アップグレードを望んでいる人たち、としましょう。

そういった人たちの多くは娯楽としてではない目的で、このコンテンツに興味関心をもつ人たちでしょうから、選択するフォントもシリアス調のものとなり、色も寒色(青系)~中性色(緑のような色)で低彩度なものが趣として合う、ということになります。 さらに副題として「シャーロック・ホームズ的3D思考」とありますが、シャーロック・ホームズといえば知る人ぞ知る頭脳明晰な名探偵、このコンテンツはその「知性」にフォーカスしたものであることはあきらかです。 そこで、ターゲットが求めているのはゆるキャラ調のシャーロック・ホームズ像ではなく、シリアスで知的なモデルを求めている、ということになり、ビジュアルもそのようになります。

こうしてターゲットを念頭に取捨選択し、焦点を絞っていく作業が様式を形作ることになります。 ここまでがざっくりとした「ターゲティングと様式」です。 ちなみに、きちんとデザインしたとしても、このターゲティング様式を誤った場合、どうなってしまうのかのサンプルも見ておきましょう。

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先述のようにターゲティングした場合、このデザインの様式は適当ではないと考えられます。 ターゲットは思考活動において現状を変えたい、より高次なメソッドを取り入れ向上し、勉学や仕事に活かしたいと考えている層なので、これではゆるすぎ、より高度で高次な知識が得られると感じられないのではないでしょうか。 フォント、文字に付けた余計な白フチや影、イラストのタッチ等、いろいろ場違いです。 無論、ターゲティング次第では、このような様式が正解となることもあります。 良いデザインかどうかは、見た目だとかキレイだとかではなく、ターゲットへの効果ということです。

ではここからは、具体的にデザインのコツを解説をしていきます。